指先の温度
最初に気づくのは、
触れたことではなく、
触れる前に、もうそこだけ少し温度が変わっていることだった。
あなたが何かを持つ。
石でも、封蝋でも、グラスでもいい。
それを持つために集まった指先だけが、
他の皮膚より少しだけ、先に世界へ出ている。
その差が好きだと思った。
顔はまだこちらを見ていない。
言葉もまだ始まっていない。
でも指先だけは、
もう、次に何かが起きることを知っている。
知っていて、
静かだ。
そこがたまらない。
静かなものほど、
あとから大きく残る。